COLUMN
育休から復帰しないのはあり?退職のリスクとメリットを徹底解説
働き方
2024.10.13
育休からの復帰を前に「復帰しない選択肢」を考えることは、決して珍しいことではありません。
育児休業制度は子どもが一定の年齢に達するまで育児に専念できる制度ですが、職場復帰を前提としているため退職を選ぶ場合にはリスクとメリットを考慮する必要があります。
この記事では、育休明けに復帰しない場合のリスクとメリットを解説し、復帰しない選択肢を検討している方が納得する判断を下せるようサポートします。
育休後のライフプランに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
育休明けに復帰しないのはあり?
育児休業明けに職場復帰せず、退職を選ぶことは法的に何の問題もありません。
育休は職場に復帰することを前提にしていますが、育児や家庭の事情、あるいは自身のキャリアに対する考え方の変化による退職は、本人の意思に基づく正当な選択です。
ただし、育児休業給付金の返還や保育園の退園リスクなど、影響をしっかりと理解したうえでの決断が求められます。
まずは、復帰しない際に気を付けるべきポイントを紹介します。
復帰を前提とした制度
すでにお伝えしたとおり、本来育児休業制度は育児と仕事を両立するために設けられている制度で、復帰を前提に設計されています。
この制度を利用することで出産後の女性たちは、育児期間中に雇用が守られ、育児休業給付金を受給しながら育児に専念できます。
しかし、復帰しないと決めた場合、給付金の返還や失業保険の手続きが必要になることを忘れてはいけません。
あくまで復職を前提とした制度であることを理解し、育休明けの退職や転職を考えましょう。
伝え方や時期への配慮が重要
育休からの復帰を見送る場合、退職の意思を伝えるタイミングや方法には慎重な配慮が必要です。
基本的には復帰予定日より前に上司や人事に相談し、早めに意思を伝えることが望ましいです。特に会社側としては、業務の引き継ぎや新たな人材の採用が必要となるため、急な退職は大きな負担となるからです。
また、家庭状況や体調などの退職理由についても、誠実に伝えることが円満退社につながる重要な要素です。
職場に復帰せず退職した場合の育児休業給付金の扱いは?
厚生労働省によると、育児休業中に退職した場合でも、育児休業給付金の返金を求められることは基本的にはありません。
参考:Q&A~育児休業給付~|厚生労働省
ただし、給付期間中に退職した場合、その支給単位期間以降はもう給付を受けることはできません。
また、基本的にはこの制度は職場への復帰を前提に作られた制度です。そのため、育休の開始時点で退職する予定があるのに、給付金を受給していた場合は不正とみなされる可能性があります。
復職の意志があるかどうかは、育休の取得前に正直に伝えましょう。
育休明けの転職・退職を考える理由
育休明けに復帰しない選択をする方の理由はさまざまですが、多くの場合は家庭状況や仕事への不安、職場環境の変化などが大きく影響します。
ここでは育休明けの転職・退職を考える代表的な理由を紹介するので、自分に該当するものがあるかチェックしてみましょう。
両立しながら働けるイメージが持てない
育休明けに復帰しない主な理由の一つに、育児と仕事の両立が無理だと感じるケースがあります。育児休暇中に子どものお世話や家事の負担が増え、勤務先での残業や業務内容を両立させることに強い不安を感じてしまうのです。
このような状況では、再就職を考えるか、家庭に専念することを選ぶことが現実的な選択肢となります。職場復帰が現実的でないと判断する場合、転職や退職の検討が必要になるでしょう。
家庭状況の変化による影響
育休中に家庭状況が変化することも、復帰をためらう理由となります。
たとえば、子どもの体調不良やパートナーの転勤、家族の介護が必要になった場合、働く環境や条件が大きく変わることが予想されます。
このような家庭事情の変化によって職場復帰が難しいと感じる場合、退職や転職を選ぶ女性は増えるでしょう。
すべての家庭がベビーシッターを雇えたり家族のフォローが得られたりするわけではありません。家族全体の生活バランスを考慮し、自分にとって最適な選択をすることが何よりも大切です。
復帰後の不本意な異動や減給
復帰後の職場で、本人の希望に反して異動や減給が行われるケースもあり、これが退職や転職の理由になることも少なくありません。特に、育休前の業務に戻れない場合や業務内容が大幅に変更された場合、働き続けるモチベーションが低下しやすいです。
育児と仕事の両立が不安な状態でこのような状況が加わると、退職を選ぶことが現実的な選択肢となる方もいます。
ブランクによる不安感
育休期間中の仕事からのブランクが、復帰に対する不安感を強めることもよくあります。
「職場の変化や仕事内容に対応できるだろうか」「同僚や上司に迷惑をかけそうで復帰が怖い」といった懸念が、退職や転職を考える一因となることも。
再び正社員としての勤務に戻るプレッシャーや業務の遅れを取り戻す自信が持てない場合、退職やキャリアチェンジを選択することがあります。
退職を選ばなかったとしても、このような不安や悩みは多くのワーママの抱えている問題です。
育休明けに復帰しないメリット
育児休業を経て職場復帰するかそれとも別の道を選ぶかは、多くのワーママにとって大きな決断です。特に、育休明けに職場に戻らないという選択肢は、さまざまなメリットをもたらす可能性があります。
続いては、育休明けに復帰しないことによるメリットや、その選択がどのように今後の人生に影響するかを見ていきましょう。
子育てに専念できる
育休明けに職場復帰しなければ、子育てに専念できる時間を確保できるのは大きなメリットです。特に、子どもの成長や健康に関わる重要な時期を家族と共に過ごし、子どもと深く関わることができます。
育児に集中できる環境を整えることで、家事や育児に充実感を得ることも可能です。復帰せずに子育てに専念することは、家族にとっても重要な選択肢の一つといえるでしょう。
時間に余裕ができる
仕事に復帰しないことで時間に余裕が生まれます。フルタイムで働くことなく家事や育児に集中できるため、家族とのコミュニケーションや自分自身の体調管理に使える時間も増えるでしょう。
また、子どもが小さい時期は日々のケアが非常に重要であり、そのために余裕のある生活を送ることが、家庭全体の安定につながることも少なくありません。
時間のゆとりを持つことは心の余裕にもつながり、家族全体の幸福感に寄与します。
失業保険を受給できる
育休明けに復帰しない選択をした場合、失業保険を受給できる可能性があります。
これは、職を失った際に経済的なサポートを受けるための制度で、直前2年間に12ヵ月以上の雇用保険の被保険者期間があるなどの条件を満たせば一定期間にわたり失業保険が支給されます。
そのため、退職後もしばらくの間、経済的な負担を軽減することも可能です。ただし、手続きや申請が必要なので、事前にしっかり確認しておきましょう。
注意が必要なのは、失業保険は再就職の意志がある人に向けた制度です。現在の職場を退職した後、転職する意志がない場合は受給できない可能性があるため気をつけましょう。
育休明けに復帰しないデメリット
育児休業後に職場復帰しないという選択は、家族との時間を優先するなどのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
自分の選択が長期的なライフプランにどのような影響を与えるのか、そしてそのリスクをどう考えるべきかについて詳しく解説します。
育休明けの退職に漠然とした不安を抱いている方は、しっかりおさえておきましょう。
世帯収入が減る
育休明けに復帰しない場合、世帯収入が減少するリスクが大きくなります。
特に、家庭の主要な収入源が一つ減ることによる影響は、生活費の見直しを迫られることになります。日常的な支出である食費や光熱費だけでなく、子どもの教育費、医療費、将来のための貯蓄にも影響が出る可能性も無視できません。
加えて、産休や育休中に延長したり有給休暇を消化しても、復職しない時点での年収の大幅な減少は避けられません。したがって、収入減を補うために労働者としての権利をしっかり確認しつつ、家計の計画を早めに立てることが必要です。
職場との関係悪化
現職の同僚や上司が復帰を期待していた場合、その期待に応えられないことで信頼関係の悪化につながるおそれもあります。そのため、育児休業の終了前には、しっかりとしたコミュニケーションを取ることが重要です。
上司に対する説明や同僚への配慮を欠かさず、職場の理解を得る努力を怠らないことで、将来的に再び求人が出た際の再雇用や、良好な関係を維持しやすくなります。
育児休業給付金の返金を求められる可能性もある
育児休業中に受け取った給付金は、基本的に復職を前提としています。
そのため、復職せずに退職を選んだ場合には、育児休業給付金の一部または全額の返金を求められる可能性もゼロではありません。
復職を断念する際には返金リスクを避けるために、有給休暇の消化や制度の延長が可能かどうかも検討し、計画的に行動しましょう。
保育園の退園リスクがある
育休明けに復職しない場合、保育園からの退園リスクも考慮する必要があります。
多くの保育園では働く親を対象に入園の優先権を与えるため、復職しないことで保育園の利用継続が難しくなるケースがあります。
特に自治体の認可保育園では、保育の必要性を証明する活動が求められるため、復職しない時点で退園を促されるおそれも。
保育園の退園は子どもの環境にも大きな影響を与えるため、家庭の状況を見据えた計画が必要です。
自治体の支援制度や他の保育施設についての情報を事前に調べ、必要に応じて柔軟に対応できるよう準備しておきましょう。
育休明けに復帰したくないときの選択肢
いざ職場復帰の時期が近づくと、「このまま復職するべきか」「もっと子どもと一緒に過ごす時間を優先したい」と悩む親も多いでしょう。
育休明けに復帰しないという選択は、個人や家庭の状況により十分に考慮すべきです。
最後に、育休明けに復職をしない選択を考えた際に取ることができる具体的な選択肢や、それぞれのメリット・デメリットについて紹介します。
育休明けのライフプランを考えるうえでも、ぜひ参考にしてください。
上司や会社に相談する
育休明けに復帰したくない場合、まずは上司や会社に相談しましょう。自分の状況や考えを率直に伝えることで、理解を得られる場合もあります。
企業側も柔軟に対応してくれるケースが多いため、まずは話し合いの場を設けることをおすすめします。
自己分析を徹底する
復帰したくない理由を明確にするためには、自己分析を徹底することが大切です。
自分が本当に望む働き方やライフスタイルを考え、整理することで、今後の選択肢を見つけやすくなります。このプロセスは、将来のキャリア設計にもプラスに働きます。しっかり考えましょう。
育休期間に副業を試してみる
育休中に副業にチャレンジすることもおすすめです。
収入を得つつ自分の新たなスキルを探る機会になりますし、副業を通じて新しい知識を身につけたり、自分にあった働き方を見つけたりできるかもしれません。
また、フルタイムの復帰を考える際にも副業の経験が活かせるでしょう。
一度復帰してから判断する
一度復職してみてから、再度判断するのも良い選択です。
実際に職場の環境や業務内容を体験することで、自分にあった働き方が見えてくることがあります。復職期間中、状況に応じて勤務形態の変更を検討することもできます。
働き方を変える
育休明けに復職しない場合、働き方を見直すという選択肢があります。最近では、企業に雇用されるのではなくフリーランスとして働き始める方も増えています。
個人事業主として一つ一つの仕事を契約ベースで行う働き方で、出社の必要がない場合が多く、自宅で仕事ができる点が大きな魅力です。
さらに、起業を視野に入れることでリモートワークや時短勤務など、柔軟な働き方が実現でき、育児と仕事の両立がしやすくなるでしょう。
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まとめ
育休明けに復帰するかどうかは、多くの親にとって重要な決断であり、各家庭の状況によって選択肢が異なります。復帰しない場合のメリットやデメリットを理解しておけば、自分たちにとって最適な選択を見つけやすくなるでしょう。
世帯収入の減少や職場との関係悪化、保育園の退園リスクなどの課題がある一方で、働き方を変えることで新たな道を切り開く可能性も広がります。
育児と仕事の両立が現実的になるかもしれません。自分のライフスタイルや価値観に合った働き方を見つけ、充実した育児生活を送るための第一歩を踏み出しましょう。
どのような選択をしても、自分の、そして家族の幸せを最優先に考えることがより豊かな人生を築く鍵となるでしょう。