顎関節症は日常生活に多大な支障をきたす症状を引き起こしますが、放置すると状態が進行して手遅れとなる危険があります。痛みや違和感を感じたら、早めの受診と治療が重要です。
この記事では顎関節症を悪化させるNG習慣やその対処法、セルフケアの方法について詳しく解説します。
「顎関節症はもう治らないって本当なの?」「この症状は顎関節症かもしれない」と、疑問や不安を抱えている方はぜひ最後までお読みください。
顎関節症の放置が招く手遅れ症状とは?
顎関節症は、軽い痛みや違和感から始まるといわれていますが、放置すると症状が進行し、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
痛みが慢性化するだけでなく、顎の動きが制限され、最悪の場合、顔の変形や機能障害を引き起こすこともあります。
まずは、顎関節症を放置した結果、どのような症状が出てくるのかを紹介します。
手遅れになる前にどのような症状が現れるかを理解し、早期に対処するきっかけにしてください。
顎の激しい痛みや慢性的な痛み
顎関節症は放置すると、顎の激しい痛みが発症し、日常生活に大きな支障をきたすおそれがあります。
初期段階では、軽度の違和感や緊張があることが多いですが、症状が進行すると食事中や会話などの日常的な場面で、痛みが悪化します。
また、痛みが慢性化すると、全身に広がることもあり、痛みの管理が難しくなることもあるでしょう。
顎の動きの制限やロック
顎の開閉時に動きが制限されたり、ロックされたりする症状も顎関節症の進行によるものです。
ロックとは「クローズドロック」とも呼ばれ、朝起きた際に口が開かない状態を指します。
クローズドロックは、顎関節の関節円板機能障害の一形態であり、顎を動かす際に突然固定されて口が開けられなくなるのが特徴です。
この症状が悪化すると、顎を完全に開けられなくなる場合があります。そのため食事や会話に不自由さを感じる方もいます。
顔の腫れや変形の発生
顎関節症が悪化すると顎の筋肉や関節にかかる負担が増大し、顔の一部に腫れや変形が見られやすくなります。特に片側の筋肉が過度に発達し、もう片方とのバランスが崩れることも。
さらに、顎関節の炎症が進行すると腫れが悪化し、顔の輪郭にも影響を及ぼします。顔の見た目にも大きな変化が生じると、大きなストレスを抱えることになるでしょう。
慢性的な頭痛
顎関節症を放置すると、慢性的な頭痛が引き起こされるおそれがあります。顎や周辺の筋肉の緊張が首や肩にまで波及し、それによって頭痛が生じるためです。
特に、片側に噛み癖があったり歯ぎしりが習慣化したりしている場合は、筋肉の疲労や緊張がさらに増し、頭痛の症状が悪化しやすくなります。
頭痛は集中力の低下やイライラを引き起こしやすいため、日常生活へのストレスにもなります。
肩こりや首の痛み
顎の筋肉が過度に緊張すると、肩や首に慢性的な痛みが発生しやすくなります。この痛みは姿勢の悪さや不適切な生活習慣でさらに悪化し、日常生活にも影響を与えやすいです。
たとえば、長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用が原因で姿勢が崩れると、首や肩の筋肉にかかる負担が増し、痛みが持続しやすくなります。その結果、顎関節の状態を改善するだけでなく全身のケアも重要です。
めまいや耳鳴り
顎関節症が進行すると顎の筋肉や関節周辺の神経に影響を及ぼし、めまいや耳鳴りが発生することがあります。
顎の動きに伴い耳や頭の周りに違和感や不快感を感じる場合は、症状が深刻化している可能性があり、注意が必要です。これらの症状は聴覚にも影響を及ぼすことがあり、放置すると日常生活に影響を及ぼす可能性があります。
早急に適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できるため、違和感を覚えた時点で、早めに専門医に相談することが必要です。
味覚障害
顎関節症の進行にともない、味覚障害が引き起こされるおそれがあります。これは、顎の筋肉や神経が圧迫されることで味覚に異常が現れるためです。
具体的には、特定の味を感じにくくなったり、逆に不快な味がしたりなど、食事を楽しめなくなるといったような症状が現れることがあります。
味覚は生活の質に大きく影響するため、早めの対応を心がけてください。
呼吸困難・嚥下困難
顎関節症が進行すると顎の筋肉や関節が炎症を起こし、呼吸や嚥下にまで影響を及ぼすことがあります。呼吸がしづらくなったり食べ物を飲み込みにくくなったりすると、気道を圧迫するおそれもあり、命に関わる危険性も無視できません。
そのため、これらの症状が進行する前に専門医の診断を受けて適切な治療を行いましょう。呼吸や嚥下は日常生活において非常に重要なため、軽視せずに対処することが重要です。
顎関節症を手遅れにさせるNG習慣
日常生活の中に潜む悪い習慣は、顎関節症を手遅れにさせる可能性があります。
歯ぎしりや姿勢の悪さなど、無意識に続けている行動が顎関節症を進行させることがあるのです。
ここでは、顎関節症を悪化させるNG習慣と、それを改善する方法について詳しく解説します。自分に該当するものがないか、チェックしましょう。
片側で噛む癖
片側だけで噛む習慣は顎関節や筋肉に偏った負担をかけ、顎関節症を悪化させる原因となります。
たとえば、右側の奥歯で主に噛む癖がある方は、右側の顎の筋肉が過度に発達し、左側の筋肉は逆に弱くなりやすいです。
片側にかかる負担が増すことで顎関節が歪み、顎の開閉がスムーズにいかなくなるケースが多く見られます。
この習慣を続けると症状が進行し、治療が手遅れになる可能性があるため、意識して両側で噛むことが重要です。また、歯科医師による指導を受けたり、噛む練習を行ったりすることも有効です。
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりや食いしばりは、顎関節や筋肉に過度な負担をかけるため、顎関節症の悪化に直結します。
たとえば、ストレスや不安が原因で夜間に無意識に歯ぎしりをする場合、これが長期間続くと関節に慢性的なダメージを与えることがあります。
患者さんの中には朝起きたときに顎の痛みや頭痛を訴える方も多く、特にストレスを感じやすい環境にいる方は注意が必要です。
歯で噛み切る
糸やタグなどを歯で噛み切る習慣は、顎関節や歯に不必要な力をかけて症状を悪化させる原因となります。
たとえば、パッケージの開封や服のタグを歯で引き裂く行為は一見無害に見えますが、実際には顎の関節や筋肉に突然大きな負担をかけているのをご存知でしょうか。このような動作が繰り返されれば顎の動きが制限され、痛みが生じやすくなります。
特に、歯が不均等に磨耗することで噛み合わせに影響を及ぼし、さらなる顎関節症を引き起こす可能性もあります。
あくまでも歯や顎は食事のために使うべきであり、こうした癖は避けたほうがよいでしょう
生活習慣
うつ伏せ寝や頬杖などの生活習慣は顎関節や筋肉に歪んだ負担を与え、症状を悪化させる可能性があります。
たとえば、うつ伏せ寝をすると首や顎に過度な圧力がかかり、顎関節に歪みを引き起こすケースも少なくありません。
また、頬杖をつくと片側の筋肉に過度な負担をかけるため、顎関節症の進行を招く要因となります。特に長時間頬杖をついていると顔の左右の筋肉のバランスが崩れ、顔の形にも影響が出るため注意が必要です。
これらの生活習慣を見直し、正しい姿勢を心がけることが症状の予防と改善につながるので意識しましょう。
姿勢の悪さ
悪い姿勢は顎関節症の大きなリスク要因です。猫背や前かがみの姿勢は首や肩、そして顎関節に過度な負担をかけるため、慢性的な痛みや関節の障害が発生しやすくなります。
デスクワークで長時間同じ姿勢を保つことが多い場合、常に首や方が緊張していませんか。この緊張は顎にも影響を与えます。スマートフォンを長時間使用する際の前かがみの姿勢も同様です。
このような姿勢を改善するためには、定期的にストレッチを行ったり背筋を伸ばしたりする癖をつけましょう。
1時間ごとに少し身体を動かせば、血行が促進されて筋肉の緊張を和らげることが期待できます。
過度なストレス
仕事やプライベートでのストレスによって無意識のうちに歯を食いしばったり、顎の筋肉が緊張したりすることは顎関節に大きな負担をかけています。
たとえば、忙しい業務や家庭の問題が原因で常に緊張している状態が続くと、知らず知らずのうちに顎に力が入っている方が多いでしょう。
このような状況が続くと顎関節症が進行しやすくなるため、ストレスを軽減することが重要です。
深呼吸や趣味などのストレス解消法を取り入れて、心身ともにリラックスできる習慣を持ちましょう。
顎関節症のセルフチェック方法
顎関節症の早期発見には、日常的にセルフチェックが有効です。顎の動きや痛み、音の有無など、自分で簡単に確認できます。
ここでは、顎関節症の兆候を見逃さないためのセルフチェックの方法を紹介しますので、ぜひ症状が悪化する前に気づけるようにしましょう。
顎の動きと痛みを確認
顎関節症のセルフチェックでは、まず顎の動きと痛みを確認してください。
顎を大きく開けたり閉じたりした際に痛みや違和感がある場合は、顎関節に異常があるかもしれません。
軽度の違和感でも放置すると症状が悪化するため、早めに診療を受けることが推奨されます。
顎を動かすときの音を確認
顎を動かす際に「カクカク」や「ポキポキ」といった音が鳴る場合、関節が正常に機能していない可能性があります。
顎関節症の典型的な症状であり、これを放置すると症状が悪化するリスクがあります。
歯列矯正がうまくいかなかった
歯列矯正後も顎関節の痛みや開閉の不調がある場合、矯正によるバランスの乱れが顎関節症を引き起こしている可能性があります。
歯並びがおかしくなったり左右の筋肉がズレたりすることで、顎の機能に支障が生じるケースもあります。
自分でできる顎関節症に効くツボ押し
顎関節症による痛みや違和感を和らげるためには、簡単にできるセルフケアとしてツボ押しが効果的です。
ツボ押しは顎の筋肉をほぐし、緊張を和らげる自然療法として広く知られています。ここでは、特に顎関節症に効果が期待されるツボとその押し方を紹介しますので、日常生活に取り入れてケアに役立てましょう。
下関(げかん)
下関は顎関節の周辺にあるツボで、顎の緊張を和らげる効果が期待できます。このツボを押すことで、顎周辺の筋肉がほぐれ、顎関節症による痛みや違和感を軽減できる可能性があります。
軽く指圧するだけでも効果が期待できるため、日常的にセルフケアとしてお試しください。
聴宮(ちょうきゅう)
聴宮は耳の近くに位置するツボで、顎関節の痛みや耳鳴りの軽減に効果があるといわれています。特に、顎を動かす際に耳周りに痛みや違和感がある場合に有効です。ツボを軽く押しながら呼吸を整えることで、リラックス効果も得られます。
ツボ押しを継続すれば顎関節症の症状改善に役立つため、ぜひ取り入れてみましょう。
顎関節症の治療法
顎関節症の治療は、一度始めると長期戦になりやすいため、治療方法の選択は慎重に行う必要があります。
歯科治療だけでなく整体や整骨院での骨格矯正、口腔外科での専門的な治療など、複数の選択肢が存在します。
骨格矯正による治療
顎関節症の治療法の一つとして、整骨院で行われる骨格矯正があります。身体全体の骨格や姿勢の歪みは顎関節にも影響を与えているため、全身のバランスを整えて顎の負担を軽減する方法です。
特に、首や肩、背中の筋肉の緊張をほぐして正しい姿勢に戻すことが、顎関節症の改善に役立ちます。整体院などによるアプローチも人気の治療法です。
「小顔整顔専門サロン AGO TOKYO SALON」では、顎関節部の歪みの元になっている土台部分の身体のパーツを足の指から一つひとつ丁寧に揃えていきます。顎関節は開口、閉口を繰り返してもらいながら正しい方向で動くようにガイドし、動きに抵抗運動をさせて、左右の筋出力の安定を図ります。
口腔外科での治療
顎関節症が進行して歯科医院での治療だけでは改善が見込めない場合、口腔外科での専門的な治療が必要になります。
しかし、顎関節はぶら下がり構造であり、咬筋や翼突筋といった強力な筋肉が関与しているため、安定させるのが非常に難しいのが現実です。
そのため、口腔外科でも完治が難しいケースがあり、症状管理に長期的な治療が必要なこともあります。
顎関節症に関するよくある質問
ここまで顎関節症が手遅れになる理由や治療法を説明してきました。
最後に、顎関節症に関してよく寄せられる質問と、それに対する専門的な解答を紹介します。顎関節症に対する理解を深め、よりよい生活を送るための参考にしてください。
まとめ
顎関節症は放置すると、日常生活に支障をきたす痛みや機能障害を引き起こす可能性があります。症状が悪化し続ければ、肩こりや頭痛、食事の困難など全身に影響が及ぶおそれもあります。
顎関節症の改善と再発予防のためには、早期に専門家を受診し、適切な治療や生活習慣の見直しが重要です。本記事を参考に、自分の症状にあったケアを行ってください。