「歯並びはきれいになったけれど、ほうれい線が深くなった?」
「せっかく時間もお金もかけたのに老けた気がする」
このように、歯列矯正後の顔の変化に不安を抱える人は少なくありません。症例によっては、歯列矯正で歯並びを整えたことで、ほうれい線が目立ってしまうことがあります。
この記事では、歯列矯正とほうれい線の関係について詳しく解説します。しっかりとした情報をもとに、歯列矯正中の不安を解消しましょう。
歯列矯正がほうれい線に与える影響
本来、ほうれい線は加齢が原因で形成されるものです。しかし、20代や30代の若い年齢でも、歯列矯正によってほうれい線が目立つようになったと不安を感じている人もいるのです。
ここでは、歯列矯正がほうれい線にどのような影響を与えるのかを解説します。
出っ歯
出っ歯の歯列矯正によって「ほうれい線が濃くなった」と悩みを抱える人は少なくありません。
出っ歯は、前歯が前に飛び出ているため、鼻の下の皮膚が張っている状態です。
歯列矯正によって前歯が正しい位置に移動すると、それに伴い鼻の下の皮膚の張り具合も変化します。その結果、以前は張っていた皮膚が余ってたるみ、ほうれい線が濃くなったと感じることがあるのです。
ただし、歯列矯正が直接的にほうれい線を深くするわけではないとされています。もともと出っ歯によって目立たなかったほうれい線が、歯列矯正後に本来の状態に戻っただけと考えられるでしょう。
八重歯
八重歯では、特に出っ歯と同じような症例で歯列矯正をした場合に「ほうれい線が目立つようになった」と感じる人がいます。
八重歯が歯列から外れ、ほかの歯よりも外側に飛び出ているケースでは、口周りの皮膚が八重歯に持ち上げられて張っている状態です。
歯列矯正によって八重歯を歯列内におさめて正しい位置にすると、口周りの張っていた皮膚も本来の位置に戻るでしょう。その結果、余った皮膚がたるんだ状態になり、ほうれい線が目立つようになったと感じることがあります。
抜歯
抜歯を伴う歯列矯正の場合、抜歯によって歯を内側に引っ込め過ぎたケースで「ほうれい線が目立つようになった」と不安を抱える人がいます。
歯列矯正では、歯を動かしたり並べたりするスペースを確保するために、抜歯が必要になることもあります。
抜歯によってスペースを確保することで、飛び出ていた歯を内側に下げて歯列におさめることができます。その際、歯を内側に下げ過ぎてしまうと、口周りの皮膚も一緒に引っ込むことになります。
飛び出ていた歯によって張っていた皮膚がたるんだ状態になり、ほうれい線が目立つようになったと考えられます。
食事のしづらさ
歯列矯正の治療中は、食事が制限されることがあります。そのため、表情筋(顔のさまざまな部分を動かす筋肉)は使われる機会が減って衰え、顔全体の皮膚が下がり、ほうれい線ができやすくなるかもしれません。
歯列矯正の治療方法には、矯正装置の取り外しができる「マウスピース矯正」と、取り外しができない「ワイヤー矯正」の2種類があります。
マウスピース矯正では、食事の際に矯正装置を取り外すため、治療前と変わらず食事ができるでしょう。
一方、ワイヤー矯正では、食事の際に痛みを伴うことがあり、やわらかい食べ物や装置と歯の間に挟まりにくい食べ物が中心になってしまいます。このような食事の制限が、表情筋を動かす機会の減少につながると考えられます。
そもそもほうれい線ができる原因は?
皮膚のたるみは、肌のハリに必要な成分の劣化や減少、表情筋の衰えなど、さまざまな要因が重なってできます。
ここでは、ほうれい線ができる主な原因とメカニズムについて解説します。
コラーゲン・エラスチンの劣化や減少
コラーゲンやエラスチンは、肌のハリや弾力を保つために欠かせないたんぱく質です。
コラーゲンやエラスチンは年齢とともに劣化、減少し、たるみやシワなどの原因になるでしょう。それぞれの成分には、以下のような役割があります。
- 肌の強度やハリを提供し、たるみやシワをできにくくする
- 肌の傷の治りを助ける再生能力も持つ
- 肌の柔軟性や弾力性を保つ
- コラーゲンを束ねることで、肌の弾力やハリを保つ
コラーゲンは体内で生成できるのに対し、エラスチンは一度壊れてしまうと再生しないため、注意が必要です。
脂肪組織の構造変化
ダイエットによる体重の増減が原因で、肌の脂肪組織が影響を受け、ほうれい線ができることがあります。
ダイエットを繰り返すたびに、脂肪組織の構造は変化します。脂肪組織が変化に対応できなかった場合は、皮膚のたるみやシワの原因になります。
特に、短期間で過度のダイエットを行い、減量とリバウンドを繰り返すケースでは、より一層ほうれい線ができやすくなるでしょう。
急激な体重変化は、脂肪組織に大きな負荷がかかるため、皮膚のたるみやシワにつながる可能性があります。ダイエットを行う際は、体重をゆるやかに落とすようにしましょう。
表情筋の衰え
表情筋は、骨だけでなく皮膚にも結合しており、皮膚の土台としての役割があります。そのため、表情筋が衰えると皮膚全体を支えられなくなり、重力によって垂れ下がり、ほうれい線ができやすくなります。
表情筋が衰える原因は「加齢」と「使われないこと」です。例えば、歯列矯正中は以下の理由から、口周りの表情筋が使われる機会が減るため、ほうれい線ができやすくなると考えられます。
- 矯正器具の装着により、口の動きが制限される
- 矯正中の食事の制限により、咀嚼回数が減少する
- 表側ワイヤー矯正の場合は見た目が気になり、大きく口を開ける機会が減少する
ほうれい線予防や対策に効果的なトレーニング
できてしまったほうれい線は、1日や2日で消えることはありません。毎日トレーニングを継続することで、目立たなくなっていきます。
長時間の難しいマッサージは長続きしないため、隙間時間で気軽にできる簡単なトレーニングを習慣化するとよいでしょう。
舌回し
舌回し運動は、口内で舌を回す簡単な運動です。舌回し運動を繰り返し行うことで表情筋が引き締まり、ほうれい線が目立たなくなります。
- 唇を閉じて、上下の歯の外側の歯茎をなぞり、円を描くように時計回りに舌を大きく回す
- 最初は2秒に1回、慣れてきたら3秒に1回のペースで回す
- 20回が目安。慣れるまではできる回数で行い、5回、10回と徐々に増やす
- 出てきた唾液は吐かずに飲み込む
- 次は、反時計回りに同じ回数だけ舌を回して1セット
1日3セットを約2週間続けると、効果が期待できます。ほうれい線が気になる人は実践してみましょう。
参考:健康、美容に多くのメリット ベロ回し体操|鹿児島県歯科医師会
口角上げ
口角の上がり方によって、顔の印象は大きく変わります。口角が下がっている場合はほうれい線が目立ち、本当の年齢より老けて見られるかもしれません。
口角を上げるためのトレーニングとして、割り箸を使用した方法があります。
- 割り箸を横にして左右の奥歯でくわえる
- 口を「い」の形にして30秒キープ
- 口の形を戻して10秒休む
- これを何度か繰り返す
最初は30秒キープするのが難しいかもしれません。慣れてきたらキープする秒数を伸ばしていくとよいでしょう。
毎日継続することで、自然と口角が上がるようになります。1~2ヶ月程度続けてみてください。
顔マッサージ
顔のマッサージを行うことで、凝り固まった筋肉がほぐれ、リンパの流れや血行がよくなります。その結果、たるみの原因である老廃物が排出され、ほうれい線が目立たなくなるでしょう。
小鼻の横に人差し指をあて、左右に動かす。
手をグーの状態にし、頬骨と顎の間のくぼみにあて、円を描く。
閉口した状態で、舌先でほうれい線に沿って押し上げるように上下に動かす。
左右3往復×2回を1セットとし、1日2セット行う。
人差し指と中指で耳を挟んで上下に動かす。
片側10回ずつ行う。
人差し指の指先を目尻に、中指をほうれい線にあて、頬骨の辺りを持ち上げるように引き上げる。
MFTトレーニング
MFTトレーニング(口腔筋機能療法)は口周りの筋肉を鍛えて引き締めるため、ほうれい線の対策に効果的です。
口を大きく開けて「あー」
口を横に広げて「いー」
唇をすぼめて「うー」
限界まで舌を出して「ベー」
と、各1秒間声を出す。
10回を1セットとし、1日に3セット行う。
舌の先端をスポットにあてる。
最初に棒でスポットに触れてから舌をあてるとよい。
舌全体を上顎に吸着させ、口を大きく開けて舌の根元にある筋を伸ばす。
舌をそのまま吸い上げていくと、舌がポンッと鳴って下に下がる。
これを10回繰り返す。
歯列矯正後にほうれい線が薄くなるケースはある?
歯列矯正後にほうれい線が濃くなったように感じるケースがあるように、薄くなったように感じケースもあるでしょう。
歯並びの悪さが原因でほうれい線が目立っていたのであれば、きれいな歯並びを完成させることでほうれい線が薄く見えるのは自然なことかもしれません。
噛み合わせが改善された
歯列矯正の主な目的の一つに、噛み合わせの改善があります。噛み合わせが悪いと、顎周りの筋肉や関節に負担がかかるだけでなく、顔全体のたるみやシワの原因にもなり得ます。
矯正後に噛み合わせが良くなると、顎や頬の筋肉が正しく使われるようになり、結果として顔の引き締まりを感じる場合があります。
また、口呼吸の癖がある人は、表情筋が正しく使われないため、ほうれい線ができやすくなります。
噛み合わせの改善とともに口呼吸も改善された場合は、表情筋が適切に使われるようになるため、ほうれい線が目立たなくなるでしょう。
正しい噛み合わせを手に入れることは、健康面だけでなく美容面にも大きな影響を与えます。ほうれい線の改善を実感するケースは、その一例といえるでしょう。
顔のバランスが整った
もともとの歯並びが左右対称ではないケースでは、歯並びによって顔が歪んで見えることがあります。
歯並びが悪い場合は、食事の際に片側に偏って食べ物を噛んでいる可能性があります。歯全体で噛めていなければ、表情筋や咀嚼筋(食べ物を噛む際に使われる筋肉)の使われ方にも偏りが生じるため、ほうれい線が片側だけ深くなることもあるでしょう。
歯列矯正で歯並びを左右対称に整えることで、顔の歪みが解消され、バランスが整うと考えられます。その結果、表情筋や咀嚼筋が正しく使われるようになり、ほうれい線が薄くなったと感じることもあるでしょう。
口元を気にせず笑えるようになった
歯並びの悪さがコンプレックスの人は、人前で口を開けることに抵抗があり、笑うことや人との対話を避けることもあるでしょう。このような行動は表情筋の衰えにつながり、ほうれい線の原因になると考えられます。
歯列矯正後は、きれいな歯並びを手に入れたことで口元を気にすることがなくなるため、自分に自信を持てるようになります。
積極的に人とコミュニケーションを取るようになり、自然と笑顔になる機会が増えるでしょう。その結果、表情筋が鍛えられ、ほうれい線が目立たなくなると考えられます。
歯列矯正でほうれい線を作らないための対策
歯列矯正は、美しい歯並びを手に入れるために多くの人が選ぶ方法です。しかし、歯列矯正中や矯正後にほうれい線が目立つようになることを心配する方もいます。
歯列矯正には多くの時間と費用がかかります。治療を後悔しないためにも、歯列矯正でほうれい線を作らないための対策について理解しておきましょう。
歯科医師と十分なコミュニケーションを取る
治療開始前のカウンセリングや診療を受ける際は、矯正治療後のほうれい線の変化について確認することをおすすめします。
また、治療開始後、歯並びの変化とともにほうれい線が濃くなってきたと感じる場合も相談した方がよいでしょう。
気になっていることを歯科医師に伝えることで、ほうれい線を考慮した治療計画を提案してくれるかもしれません。あるいは、ほうれい線の原因が矯正治療ではないことがわかる可能性もあります。
歯科医師と十分なコミュニケーションを取り、信頼関係を築いて治療を進めることで、悩みや不安を軽減できるでしょう。
左右均等に噛む習慣をつける
食事の際、無意識に左右どちらかに偏って食べ物を噛んでいる人は珍しくありません。
片方だけで噛む癖がある場合、噛んでいる側の筋肉ばかりが鍛えられ、噛んでいない側の筋肉は衰え、片方だけほうれい線が濃くできてしまうことがあります。
偏った噛み癖が顔の歪みの原因になり、やがて骨格の歪みやむくみにつながり、健康に影響を及ぼすかもしれません。
普段から左右均等に噛むことを意識すると、表情筋のバランスが整いやすくなります。
噛む回数を増やすことも重要で、よく噛むことで顔全体の筋肉を自然に鍛えることができます。日々の食事を見直し、癖を改善していきましょう。
表情筋を鍛える
ほうれい線の原因の一つに「表情筋の衰え」が挙げられます。
筋力は20代をピークにその後は低下していきますが、筋肉は何歳からでも鍛えられるといわれています。
表情筋を鍛えるトレーニングを行ったり、笑う機会が増えたりすることで、表情筋が正しく使われるようになるため、ほうれい線の改善が期待できるでしょう。
ただし、トレーニングのやり過ぎには注意が必要です。過度なトレーニングは、筋肉の伸び縮みにより皮膚へダメージを与え、たるみやシワができる恐れがあります。
トレーニングを行う際は、回数や頻度、時間を守るようにしましょう。
スキンケア・紫外線対策を徹底する
ほうれい線は、肌の乾燥や紫外線の影響を受けることで目立ちやすくなります。
紫外線を浴びると、肌のハリや弾力に欠かせないコラーゲンやエラスチンといった成分がダメージを受け、肌のハリや弾力が失われてしまいます。
乾燥している肌は紫外線の影響を受けやすいため、コラーゲンやエラスチンが不足しやすい状態になるでしょう。
また、紫外線は肌の乾燥を促す作用も持つため、たるみやシワの原因になり、ほうれい線が目立ちやすくなります。
ほうれい線を予防するためには、十分な保湿で潤いを保つことや、日焼け止めやUVカットのグッズを使用して肌を守ることが効果的です。
日頃の姿勢に気をつける
姿勢の悪化が原因で、ほうれい線ができてしまうこともあります。
特に、猫背の場合は顔全体が前傾するため、顔の皮膚が引っ張られ、皮膚がたるみやすい状態になります。猫背の人は、日頃の姿勢を改善することがほうれい線の対策につながるでしょう。
以下の方法によって、正しい姿勢を意識すると効果的です。
- 壁に背中をつけて立ち、頭、肩、背中、腰すべてが壁につくように意識し、習慣化する
- スマートフォンを操作する際は、下を向く姿勢や長時間の使用を避ける
- 長時間の座り姿勢では、時間を決めて首を回したり、肩を上下に動かしたりして筋肉をほぐす
美容皮膚科・美容外科の受診を検討する
ほうれい線が進行してしまった場合は、セルフケアのみでは改善が難しいでしょう。
深くなったほうれい線は、美容皮膚科や美容外科で治療を受けることで、改善が期待できるかもしれません。
ほうれい線の治療には、切開を必要とする治療方法や、注入治療、レーザー、再生医療といった切開を必要としない治療方法など、さまざまな種類があります。
傷の痕が不安な人や、ダウンタイムが短い治療を希望する人は、切開を必要としない治療方法を選択するとよいでしょう。
美容皮膚科や美容外科の治療を検討する際は、治療方法のメリット、デメリットをよく確認し、医師と相談しながら自分に合った治療方法を選択しましょう。
小顔矯正を併用する
小顔矯正は、骨や筋肉を正常な位置に整えることで血流を改善し、顔の周りにたまった余分な水分や老廃物を排出します。その結果、むくみやほうれい線の原因となるたるみの改善につながります。
小顔矯正の効果には個人差がありますが、一回の施術で改善が期待できるでしょう。そのため、即効性を求める人にはおすすめの対処法といえます。
ただし、表情筋の使い方の癖や硬さの影響で、最初の頃はほうれい線が戻りやすいかもしれません。改善された状態を保つためには、定期的に施術を受けることがおすすめです。
ほうれい線の主な原因は、肌のたるみだけではなく、その下にある骨の変化が大きく影響していると「小顔整顔専門サロン AGO TOKYO SALON」では考えています。この状態を改善するには繊細なアプローチが欠かせません。強い刺激は筋肉と皮膚の滑りを妨げ、かえってたるみを助長する可能性があるためです。当サロンの施術では、やさしいタッチで骨格を本来あるべき位置へと整えていきます。
歯列矯正に関するよくある質問
歯列矯正後は、歯並びの仕上がりだけでなく、顔の変化に対して悩みを抱えることも少なくありません。
矯正歯科では、顔の変化については治療の対象外であるため、相談できずに悩みを解消できない人もいるでしょう。
ここでは、歯列矯正に伴う顔の変化に対してよくある疑問について解説します。
まとめ
歯列矯正がほうれい線に直接的に影響することは一般的にはありません。しかし、症例によっては歯列矯正を行うことで、ほうれい線が濃くなったり薄くなったりすることがあります。
歯列矯正で後悔しないためには、治療後の歯並びだけでなく、顔全体の変化についても確認することをおすすめします。
歯列矯正に関して不安がある場合は、歯科医師のカウンセリングをしっかり受けるようにし、場合によっては小顔矯正の併用も検討しましょう。