歯並びや噛み合わせの悪さは、たるみや輪郭の歪みなどを引き起こすことがあるため、悩みを抱える人も少なくありません。
歯列矯正を行うことで、口元の変化に伴ってフェイスラインが整い、老け顔を解消できる可能性があります。
ただし、歯列矯正後にたるみやほうれい線が目立つようになるケースもあるため、注意が必要です。
この記事では、歯列矯正によるたるみへの影響や顔の変化を詳しく解説します。
歯列矯正でたるみを改善できる?
たるみの原因は、加齢のほか、表情筋の衰え、噛み合わせの悪さ、口呼吸など多岐にわたります。
これらは、歯列矯正を行うことで改善できる可能性があり、結果としてたるみの改善につながります。
たるみで悩みを抱えている人は、たるみの原因を理解したうえで歯列矯正を検討するとよいでしょう。
表情筋が鍛えられることで改善するケース
歯並びが左右対称ではない症例では、歯並びによって顔の歪みやたるみを引き起こすリスクがあります。
歯並びが悪い場合は、食事の際に片側に偏って食べ物を噛んでいる可能性があります。歯全体を使って噛めていない場合、表情筋や咀嚼筋の使われ方に偏りが生じるため、たるみに左右差を感じるケースもあるでしょう。
歯列矯正で歯並びを左右対称に整えることで、顔の歪みが解消されます。その結果、表情筋や咀嚼筋が正しく使われるようになり鍛えられ、たるみが改善されたと感じることもあるでしょう。
噛み合わせが整うことで改善するケース
噛み合わせの悪さは、顎周りの筋肉や関節への負担だけでなく、顔全体のたるみやシワを引き起こす原因にもなり得ます。
噛み合わせが悪いと、ものを噛んだときに顔全体に加わる力が不均等になります。そのため、頬や顎の骨格の歪みにつながることも少なくありません。
骨格の歪みによって表情筋や皮膚が引っ張られ、たるみの原因になるでしょう。また、片側だけで噛む癖があると、よく使う側のエラが張る可能性があります。
歯列矯正によって噛み合わせが整うことで、表情筋の緊張や不均衡が解消され、顔の歪みやたるみ、エラ張りの改善が期待できるでしょう。
口呼吸が減り改善するケース
出っ歯や受け口など口が閉じにくい歯並びは、口呼吸になることも少なくありません。
口呼吸が習慣化すると、口周りの筋肉が緩み、たるみやシワ、ほうれい線などを引き起こす可能性があります。
また、口呼吸は口内が乾燥しやすく、たるみの原因である乾燥肌を招くこともあるでしょう。
歯列矯正によって歯並びや噛み合わせの改善とともに口呼吸も改善された場合は、表情筋が適切に使われるようになり、たるみの改善が期待できます。その結果、気になっていたマリオネットライン(口角から顎に伸びてできた溝)が薄くなったと感じることもあるでしょう。
歯列矯正だけでたるみを改善するのは難しい
歯列矯正を検討する人のなかには、たるみの改善を期待する人もいるでしょう。しかし、歯列矯正は、歯並びや噛み合わせの改善を目的とした治療であり、直接的にたるみを改善することはありません。
ただし、症例によっては、歯列矯正を行うことでたるみが解消され、口元や顔全体の印象が変わることがあります。
歯並びや噛み合わせが整うことで、口元や顎の歪みが改善され、顔のバランスが整ったように感じることもあるでしょう。
歯列矯正後にたるみが気になる場合は、表情筋のエクササイズ、美容皮膚科や美容外科の受診、小顔矯正などを検討することをおすすめします。
抜歯・非抜歯矯正の違いとたるみへの影響
歯列矯正では、歯を動かすスペースを確保する必要があるため、症例によっては抜歯が必要になるケースがあります。
しかし、抜歯・非抜歯の判断を誤ると、たるみやシワなど望まない顔の変化を生じるリスクがあります。抜歯・非抜歯矯正の違いを理解し、たるみを予防しましょう。
抜歯矯正で起こりうるリスクとメリット
抜歯は、重度の出っ歯や歯の重なりが大きい歯列不正など、複雑な歯並びを整えるうえで必要な処置です。抜歯をすることで歯列が後退するため、たるみを引き起こすリスクがあります。
必要な抜歯だけでなく、診断の誤りによる不必要な抜歯により、口元に凹みができて頬がこけたり、人中が長くなったりする可能性も否定できません。
抜歯矯正には、以下のメリットがあります。失敗のリスクを減らすためには、事前の精密検査と歯科医師の適切な診断が重要です。
- 口元の突出感が解消し、美しい横顔になる
- 奥歯を抜歯すると、エラの張りが解消されて若く見えることがある
非抜歯矯正の限界と注意点
非抜歯矯正は、健康な歯を残せることや、抜歯矯正より患者の負担が少ないなどのメリットがあります。そのため、できる限り抜歯をせずに治療したいと考える人がほとんどでしょう。
しかし、非抜歯矯正にこだわると、歯を動かすスペースに限界が生じ、イメージ通りの治療結果が得られない可能性があります。非抜歯で無理な治療を行った結果、歯を並べるスペースが不足し、出っ歯になる可能性があります。
また、抜歯の代わりに歯の表面を削り、調整する処置を行った場合、口元の筋肉が緩み、たるみができることもあるでしょう。
抜歯・非抜歯は見た目に影響するため、歯科医師とよく相談し、慎重に判断することが大切です。
年齢による骨格変化を考慮した選択が大切
歯列矯正は、子どもの場合と大人の場合で治療のプロセスや通院期間などが異なります。
子どもの場合は、顎の成長が発達段階であるため、顎の成長を利用して永久歯を適切な位置に導くことができます。歯や顎の骨が柔らかく、新陳代謝が高いため、大人よりも歯が動きやすいでしょう。
一方、大人の場合は、すでに顎の成長が完了しているため、骨格自体に問題がある症例では、歯列矯正だけで改善が見込めない可能性があります。そのため、外科的手術が必要になるケースもあるでしょう。
カウンセリングの際は、年齢による骨格変化を考慮し、適切な治療法を選択することが大切です。
矯正装置の種類とたるみへの影響
歯列矯正の治療方法には、矯正装置の取り外しができない「ワイヤー矯正」と、食事や歯磨きの際は矯正装置を取り外す「マウスピース矯正」の2種類があります。
治療方法によっては、矯正装置による見た目や食事の影響が原因となり、たるみができやすくなる可能性があります。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、矯正装置を装着した状態で食事をするため、硬い食べ物を噛んだ際に痛みや違和感が生じたり、矯正装置が破損したりするリスクがあります。
治療中は柔らかい食べ物が中心になるため、咀嚼回数が減少し、咀嚼筋や口周りの筋肉が衰え、たるみができる可能性があります。
また、ワイヤー矯正には、表側矯正と裏側矯正があり、表側矯正の場合は矯正装置が目立つため、見た目を気にする人も少なくありません。
自然な笑顔や人と会話する機会が減少し、表情筋が衰え、たるみができるおそれがあります。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、食事の際は矯正装置を取り外すため、治療前と同様に食事が楽しめることや、見た目が目立ちにくいメリットがあります。
ただし、矯正装置を装着している間は口元の動きが制限されるデメリットがあります。長期にわたって表情筋が十分に使われない状態が続くと、筋力が低下し、たるみができやすくなるでしょう。
また、マウスピース矯正は適応症例が限られており、軽度から中度の歯列不正に対応が可能です。重度の歯列不正が原因のたるみは、治療効果が得られないため、改善することは難しいでしょう。
部分矯正の場合
軽度の出っ歯、八重歯など気になる部分のみ歯列矯正を希望する人は少なくありません。
部分矯正は、全体矯正に比べ、歯を動かす範囲が狭く、治療にかかる時間と費用が抑えられるため、気軽に治療を受けやすいイメージを持つ人もいるでしょう。
出っ歯や八重歯など歯が前方に突出している歯並びを改善するためには、歯を内側に後退させる必要があります。歯の位置の変化に伴い口元が引っ込むため、口元の皮膚が余り、たるみが目立つようになる可能性があります。
ただし、歯列矯正を行うことでたるみが改善するケースもあるため、仕上がりには個人差があります。
歯列矯正でたるみが目立つケースは?
歯列矯正後は、たるみが改善し、若くなったと感じる人もいれば、たるみが目立って老けたと感じ、再矯正を検討する人も少なくありません。
治療の後悔を回避するためには、歯の変化とともに、皮膚のたるみやほうれい線など、起こり得る顔つきの変化ついても理解しておきましょう。
歯並びがすっきりすることで皮膚が余る
出っ歯や八重歯の歯並びは、歯が前方に突出しているため、鼻の下の皮膚が張っている状態です。
歯列矯正によって歯が正しい位置に移動すると、それに伴い鼻の下の皮膚の位置も変化します。その結果、治療前は張っていた皮膚が余り、たるみが目立ったように感じるケースもあるでしょう。
ただし、歯列矯正が直接的にたるみにつながるわけではありません。もともと出っ歯や八重歯によって目立たなかったたるみが、歯列矯正後に本来の状態に戻っただけと考えられます。
歯列矯正中に表情筋が衰えて目立つ
表情筋は骨と皮膚に結合しており、皮膚を支える土台としての役割があります。年齢とともに表情筋は衰え、皮膚全体を支えられなくなり、重力によって垂れ下がります。その結果、たるみができやすくなるでしょう。
また、筋肉は使われることで鍛えられ、使われないと衰えてしまいます。歯列矯正中は、以下の理由から、口周りの表情筋が使われる機会が減るため、たるみができやすくなるでしょう。
- 矯正器具の装着により、口の動きが制限される
- 矯正中の食事の制限により、咀嚼回数が減少する
- 表側矯正の場合は見た目が気になり、大きく口を開けたり笑顔になったりする機会が減少する
人中・ほうれい線が深くなるリスク
歯列矯正後、人中やほうれい線が深くなったように見え、老けたように感じる人もいるでしょう。人中やほうれい線が深くなる原因として、以下のことがあげられます。
- 出っ歯の歯列矯正では、前方に突出していた歯を内側に後退させることで、鼻の下の皮膚が余った状態になる
- 抜歯した場合、唇や鼻を支えるものがなくなり、口元が内側に沈んで後退したり、鼻の下の皮膚が余ったりする
- 矯正治療中に柔らかいものを食べる機会が増えたり、咀嚼回数や食事自体の回数が減ったりして、表情筋が衰える
顔が長くなったようにように見えるリスク
歯列矯正後は、顎が短くなったように感じる人がいる一方で、顎が長くなり、顔全体が面長になったように感じ、治療を後悔する人も少なくありません。
過蓋咬合はディープバイトとも呼ばれ、上の歯が下の歯に覆い被さり、下の歯が見えない状態です。噛み合わせが深いため、顎や顔が短く見える傾向があります。
歯列矯正によって噛み合わせが浅くなると、下顎が下がって本来の位置に戻り、顎が長くなったように見えることがあるでしょう。なかには、顎がしゃくれたように感じるケースもあります。
フェイスラインの変化が期待できる症例
歯列矯正で歯並びや噛み合わせを改善することで、唇や顎の位置が正しくなり、顔全体がすっきりした印象になります。
また、Eラインが整うと横顔も美しくなり、コンプレックスが解消されるでしょう。
ここでは、歯列矯正をすることでフェイスラインの変化が期待できる症例を具体的に解説します。
出っ歯(上顎前突)
「出っ歯のせいで口元が膨らんで見える…」
このように、出っ歯の歯並びにコンプレックスを抱え、歯列矯正を希望する人も少なくありません。
出っ歯は、口が開きやすく口呼吸になりやすいです。そのため、口周りの筋力が低下し、たるみを引き起こします。
歯列矯正を行うことで前歯が正しい位置に戻ると、口元の膨らみが解消され、美しいEラインが形成されるでしょう。口元のバランスが整うことで、小顔効果も期待できます。
また、口が閉じやすくなるため、口呼吸も改善されます。口周りの筋力アップにつながり、顔のバランスが整うでしょう。
受け口(下顎前突・反対咬合)
受け口は、下の歯が上の歯よりも前に出ている状態であり、顎がしゃくれたように見えたり、顔が長く見えたりするため、顔全体の印象に大きく影響します。また、噛み合わせの悪さが健康にまで影響を及ぼし、悩みを抱える人も少なくありません。
骨格に問題がなく、歯並びが原因である受け口のほとんどは、歯列矯正で改善することができます。
歯列矯正を行うことで前突していた下顎が後退し、上下の顎のバランスが整います。横顔が美しくなり、フェイスラインの変化が期待できるでしょう。
ただし、骨格に問題がある受け口の場合は、歯列矯正では改善が難しく、外科的手術が必要になる可能性があります。
八重歯・乱杭歯(叢生)
八重歯は、犬歯(上顎の中心から左右3番目の歯)が歯列から上あるいは外に出ている歯並びのことです。
八重歯は、噛み合わせの悪さや口呼吸を引き起こすことがあるため、健康に悪影響を及ぼし、たるみやほうれい線ができやすくなります。
歯列矯正を行うことで噛み合わせや口呼吸が改善されると、表情筋を適切に使えるようになるため、顔の歪みが改善されるでしょう。口元の膨らみが解消され、Eラインが整います。
八重歯の改善方法には抜歯もあります。しかし、抜歯によって口元のバランスが崩れるケースもあるため、カウンセリングの際は、治療法について歯科医師とよく相談しましょう。
過蓋咬合
過蓋咬合は、下顎のしゃくれや、笑った際に歯茎が見えるガミースマイルの原因になるため、審美性の低下からコンプレックスを抱く人も少なくありません。
また、過蓋咬合は、顎関節に負担がかかりやすいため、顎関節症を引き起こすことがあります。下の歯が上の歯茎を傷つけるリスクもあるため、早期の治療が推奨されます。
歯列矯正を行うことで噛み合わせが改善され、顎の位置も正しくなるでしょう。
しゃくれの改善によって顔が引き締まった印象になり、フェイスラインの改善が期待できます。
歯列矯正と併用したいたるみ改善のポイント
たるみは、さまざまな要因によって形成されるため、歯列矯正と併用することでたるみの予防や改善につながる行動があります。
ここでは、歯列矯正を行ううえで、たるみの予防や改善に有効な対処法を解説します。日常生活において実践できることを積極的に取り入れましょう。
適切な治療計画
適切な治療計画を立てるうえで、症状や口腔内の状態を把握するために、以下の精密検査を受ける必要があります。
- レントゲン撮影
- CT検査
- 歯型取り
- 口腔内写真
- 顔面写真
- 口腔内スキャン
これらの検査を受けることで、歯や顎の骨の位置関係や大きさ、埋伏歯の有無などを詳細に把握できるため、治療のリスクや治療後の仕上がりを予測することができます。
たるみへの影響が心配な場合は、精密検査が受けられる設備が整っており、検査結果を丁寧に説明してくれる歯科医院で治療を受けましょう。
スキンケア
紫外線や肌の乾燥は、たるみを引き起こす原因になります。
紫外線を浴びることで、肌のハリや弾力に欠かせないコラーゲンやエラスチンといった成分がダメージを受け、肌のハリや弾力が失われてしまいます。
また、乾燥している肌は紫外線の影響を受けやすいため、コラーゲンやエラスチンが不足しやすい状態になるでしょう。紫外線は肌の乾燥を促す作用も持つため、たるみやシワを引き起こす原因になります。
日常生活のなかで以下の対処法を習慣にして、たるみを予防しましょう。
- 入浴後は十分な保湿でスキンケアを行い、肌の潤いを保つ
- 日焼け止めやUVカットのグッズを使用し、肌を紫外線から守る
健康的な生活習慣
歯列矯正で歯を効率的に動かすためには、以下のような健康的な生活習慣が不可欠です。
栄養バランスのよい食事
矯正治療中は栄養バランスが偏る傾向があります。1日3食を心がけ、主食、主菜、副菜とバランスよく栄養を摂取することでたるみを予防しましょう。
定期的な運動
ストレッチやウォーキングなどの適度な運動は、新陳代謝を高めて歯の移動を促します。また、筋力を維持することでたるみの予防につながります。
規則正しい睡眠
睡眠不足は成長ホルモンの分泌を低下させ、肌の弾力を失う原因となるため、睡眠時間を確保しましょう。
食後の歯磨き
歯列矯正中に虫歯や歯周病を発症した場合、これらの治療を優先することになり、歯列矯正の治療期間が長引く可能性があります。毎食後の歯磨きを習慣にし、虫歯や歯周病を予防しましょう。
筋肉トレーニングやマッサージ
MFTトレーニング(口腔筋機能療法)は、口周りの筋肉を鍛えて引き締めるため、たるみの対策に効果的です。
- あいうべ体操:舌や唇の筋肉を鍛える
- スポットポジション:舌の正しい位置を覚える
- ポッピング:舌を上げる力を鍛える
また、顔のマッサージは、凝り固まった筋肉をほぐし、リンパの流れや血行をよくします。その結果、老廃物が排出され、たるみの改善が期待できます。
- 小鼻の横や頬周りの凝りをほぐす
- ほうれい線を押し上げる
- 耳下腺リンパを刺激する
- 口角を引き上げる
顎まわりに特化した小顔矯正の併用
歯列矯正によって歯並びを改善しても、顎関節や首、肩など全身のバランスに歪みがある場合、想像していた口元や顔の変化が得られないケースも少なくありません。
また、歯並びは改善されても、歯の変化に伴い口元が下がったり、たるみができたりして老けた印象になり、治療を後悔する人もいるでしょう。
治療中や治療後の顔の変化に不安を抱えている人は、身体への負担が少ない顎まわりに特化した小顔矯正がおすすめです。
「小顔整顔専門サロン AGO TOKYO SALON」では、歯列矯正はあくまでも歯並びや噛み合わせを整えるものであり、顎関節や頭蓋骨を含めた骨格全体の歪みまで正すわけではないと考えています。痛みを伴わず呼吸に合わせて骨格配置を修正する手法ですので、矯正中でもリスクが少なく併用可能です。全身のバランスを整えながらフェイスラインや頬の位置を最適化することで、矯正終了後もたるみにくい若々しい印象が保ちやすくなります。
まとめ
歯列矯正を行うことで、顎や唇の位置が正しい位置になり、たるみや輪郭の歪みが改善することがあります。顔全体のバランスがよくなり、自分に自信が持てるようになるでしょう。
診断や治療法の選択を誤ると、たるみやほうれい線が濃くなる可能性があります。
治療を後悔しないためにも、治療後のイメージについて歯科医師とよく相談することをおすすめします。