歯列矯正でやり直しはできる?失敗の原因と再矯正のリスクを解説します!

歯列矯正でやり直しはできる?

歯列矯正をして理想の歯並びを手に入れた後、歯が元の位置に戻る後戻りを起こし「もう一度やり直したい」と再矯正を検討する人もいるでしょう。

しかし、再矯正をする場合、時間と費用がかかることはもちろん、さまざまなリスクも伴うため、治療に踏み切ることは簡単ではありません。

この記事では、歯列矯正の失敗の原因と再矯正のリスクを詳しく解説します。

目次

歯列矯正のやり直しになる原因は?

歯列矯正後、顎の骨格の変化や生活習慣などさまざまな要因で歯並びが変化し、再矯正を検討する人は少なくありません。

また、満足した治療結果が得られず悩みを抱える人もいるでしょう。ここでは、歯列矯正のやり直しになる原因を解説します。

後戻りによる歯並びの変化

歯列矯正後、歯は時間の経過とともに元の位置に戻ろうとします。特に、矯正治療を終えて約半年間は、歯を支える歯槽骨が不安定な状態のため、後戻りのリスクが高めです。

後戻りを防止するため、矯正治療後は歯を固定するためのリテーナー(保定装置)を装着しますが「保定期間のリテーナーの装着不足」が原因で後戻りを起こすことは珍しくありません。

保定期間には個人差がありますが、一般的に歯を移動させる矯正期間と同等またはそれ以上の期間が必要とされています。

長期にわたる適切なリテーナーの使用、徹底した口腔ケアなど、医師の指示を守ることで後戻りを予防できるでしょう。

成長期の骨格変化による影響

子どもの場合、顎の骨や歯が成長段階にあるため、歯列矯正後に顎の骨格が変化することで歯並びや噛み合わせが悪くなり、やり直しになるケースも少なくありません。

顎の形や大きさの問題は、噛み合わせに影響します。顎の大きさに対して歯が大きい場合や、顎の発育不足で歯が並ぶスペースが足りない場合は、乱杭歯や出っ歯の歯並びになるでしょう。

成長期に歯列矯正を受ける際は、顎の骨の成長が終わるまで適切な治療を受け、経過観察を続けることが重要です。

顎の骨格的な問題と歯並びの関係を考慮して治療を行う歯科医院を選択しましょう。

生活習慣や癖(舌癖や口呼吸など)が影響

矯正治療で歯並びを整えても、以下のような歯並びに影響を与える生活習慣や癖が残っている場合は後戻りを起こし、再矯正が必要になってしまいます。

  • 噛み癖(歯ぎしり、食いしばり)
  • 舌癖
  • 噛む力が弱い、強い
  • 口呼吸
  • 唇や爪を噛む
  • 片側に偏って噛む
  • 頬杖をつく
  • うつ伏せや横向きで寝る

噛み癖は、マウスピースの使用など、適切な処置を受けることで対策できます。

舌癖、噛む力が弱い、口呼吸の対処法として、口周りの筋肉を鍛え、舌の位置を正しくするMFT(口腔筋機能療法)があげられます。

注意して直せる癖は意識して改善に努め、後戻りを予防しましょう。

歯列矯正の仕上がりに不満

矯正治療後の仕上がりに満足できずコンプレックスを抱え、再矯正を検討する人もいるでしょう。

治療前のカウンセリングでは、治療後のシミュレーションを行い、患者の希望に沿って治療計画を立てます。しかし、口腔環境、生活習慣などの影響によって理想の結果が得られないこともあります。

また、症例に合った治療方法を選択できなかったことが原因で、仕上がりに影響が出るケースも少なくありません。

例えば、歯を並べるスペースを確保するための抜歯が必要な症例にもかかわらず、非抜歯で治療を進め、出っ歯になった事例があります。

歯列矯正前には正確な診断を受け、適切な治療方法を選択することが大切です。

再矯正におけるリスク

再矯正は、歯列矯正後の歯並びや噛み合わせの問題を解決し、自分が望む治療効果が期待できるメリットがある一方で、注意すべきリスクを伴うデメリットもあります。

2回目以降の治療におけるリスクや注意点を理解することで、正しい判断ができるでしょう。

歯根吸収

歯根吸収とは、歯の根っこである歯根部分が溶けて消失したり、短くなったりしてしまう状態のことです。歯根吸収は、以下の原因によって起こります。

  • 矯正治療による歯や歯周組織への負担
  • 外傷
  • 虫歯の重症化
  • 歯の神経の治療による歯根の先端の炎症

再矯正を行った場合、矯正力が歯や歯周組織にかかる期間が長くなるため、歯根吸収を起こすリスクが高まります。

軽度の場合は自覚症状がほとんどありませんが、重度になると歯が抜け落ちることがあります。

すでに1回目の治療で歯根吸収を起こした場合や、歯根が細い場合は、歯科医師とよく相談して再矯正を検討しましょう。

歯肉退縮

歯肉退縮は、矯正力によって歯槽骨が減るとともに歯肉も下がり、歯根が露出した状態のことです。歯肉退縮のリスクは、特に以下のような場合に高まります。

  • 歯の移動距離が大きい
  • 過去に矯正治療の経験がある
  • 高齢であり、骨の量が減少しやすい

歯肉退縮は徐々に進行するため、自覚症状がほとんどありません。気づいたときには、ブラックトライアングル(歯肉退縮によって歯と歯の間にできる三角形の隙間)ができていることも珍しくありません。

ブラックトライアングルは、見た目に影響を与えるだけでなく、隙間に食べ物が挟まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まるため注意が必要です。

治療が複雑になる可能性

再矯正を行う際、以下のことが原因で1回目よりも治療が複雑になる可能性があります。

  • 矯正治療後、歯槽骨が硬くなり歯が移動しにくい可能性がある
  • 歯や歯周組織に負担がかかり、歯根吸収や歯肉退縮のリスクが高い場合、注意が必要
  • 噛み癖や舌癖などが後戻りの原因なら、原因を明確にし改善する必要がある

歯列矯正を行う条件は「歯や歯周組織が健康であること」です。歯科医師による適切な診療を受け、再矯正を検討しましょう。

顎関節に負担がかかる可能性

歯列矯正が顎関節に与える影響として、以下のことがあげられます。

  • 噛み合わせと顎関節は密接に関係し、噛み合わせの変化が顎関節の負担を増やす可能性がある
  • マウスピース矯正で上下に装着する場合、口の開閉が制限され、顎関節に負担がかかることがある
  • 抜歯により負担がほかの歯に移り、顎関節に影響を及ぼすことがある

再矯正は、1回目の治療よりも顎の痛み、口を開けた際の違和感、顎関節の不調などが生じる可能性が高いため、慎重に判断しましょう。

歯列矯正のやり直しに必要な費用と期間

再矯正にかかる費用や期間には個人差があり、後戻りの程度や治療法などによって異なります。そのため、人によっては再矯正が難しいケースもあるでしょう。

後戻りの保証期間を設けている歯科医院もあるため、再矯正を検討する際は確認することをおすすめします。

再矯正の費用の目安

再矯正の費用の目安は、マウスピース矯正、ワイヤー矯正の表側矯正ともに以下のとおりです。

  • 軽度の後戻り:30万円程度
  • 重度の後戻り:60万円程度

一般的に、1回目の治療よりも少ない費用で治療できることがほとんどですが、後戻りの程度が大きい場合、費用の負担は増えるでしょう。

また、ワイヤー矯正の裏側矯正を選択した場合は、表側矯正に比べて見た目が目立ちにくいメリットがあります。デメリットは、治療が複雑なため専門的な技術を必要とし、費用が高くなる点です。

治療法によって適応症例は異なるため、治療効果を得るためにも歯科医師とよく相談したうえで治療法を選択しましょう。

治療期間の目安

再矯正にかかる治療期間の目安は、後戻りの程度が軽度の場合、6ヶ月~12ヶ月程度です。

ただし、後戻りの程度が重度の場合は、1回目の治療と同じように数年の治療期間が必要になる可能性があります。

歯列矯正後に後戻りを起こした場合は、できるだけ早く歯科医院を受診し、再矯正を検討しましょう。後戻りが軽度であれば、短期間の治療が可能です。

保定期間は長ければ長いほど美しい歯並びを維持できます。保定期間終了後もモチベーションを保ち、就寝時だけでもリテーナーの装着を続けることで再矯正の後戻りを予防できるでしょう。

再矯正ができないケースはある?

再矯正は、歯列矯正を受けたすべての人が受けられる治療ではありません。

再矯正を行う際は、歯や骨の状態が良好であることや、精密検査を受けるといった条件をクリアする必要があります。

ここでは、再矯正ができないケースを詳しく解説します。

歯や骨の状態が良好であることが前提

歯列矯正を行う条件は「歯や歯周組織が健康であること」です。

以下のケースでは、再矯正が難しいと判断される可能性があります。

  • 歯周病に罹患している
  • 重度の歯周病の既往歴がある
  • 歯根吸収を起こしている
  • 歯肉退縮を起こしている
  • 高齢であり、歯槽骨が減少している

再矯正は、1回目の矯正と同じように歯に負担がかかるため、症状が悪化したり、歯を失ったりするリスクが高いです。

そのため、再矯正を行う前には、レントゲン撮影、口腔内スキャンなどの精密検査を受け、治療が可能かどうかの診断を受ける必要があります。

レントゲン撮影を含む精密検査が必要

再矯正を行う際は、現在の歯や口腔内の状態を把握するための精密検査が不可欠です。

検査結果をもとに治療計画を立てるため、以下の精密検査ができない場合は再矯正ができない可能性があります。

  • レントゲン撮影
  • CT検査
  • 歯型取り
  • 口腔内写真
  • 顔面写真
  • 口腔内スキャン

これらの検査を受けることで、歯や顎の骨の位置関係や大きさ、埋伏歯の有無、顎の関節や骨格の状態などを詳細に把握できるため、治療のリスクや治療後の仕上がりを予測することが可能です。

精密検査が受けられる設備が整っており、検査結果をわかりやすく説明してくれる歯科医院を選択しましょう。

歯列矯正のやり直しはどこに相談すればよい?

再矯正を検討する際、治療を受けた歯科医院に相談すれば、効率よく話が伝わるでしょう。

しかし、再矯正の理由によっては、治療を受けた歯科医院に相談することをためらう人もいます。

ここでは、歯列矯正のやり直しを相談する手段を解説します。

治療を受けた歯科医院に相談する

歯列矯正のやり直しを検討する場合は、特に問題がない限り、治療を受けた歯科医院に相談することをおすすめします。

歯科医院によっては、後戻りした場合に再矯正の保証期間を設けていることがあります。1回目の矯正治療におけるレントゲン写真、カルテ、治療内容などを確認しながら相談できるため、適切なアドバイスが得られる可能性が高いでしょう。

また、すでに歯科医師との信頼関係を構築できているケースがほとんどであり、自分の希望を明確に伝えやすく、話がスムーズに進みやすいです。

治療前のカウンセリングでは、再矯正の保証期間などアフターフォローについても十分に確認しておきましょう。

歯科医院でセカンドオピニオンを受ける

リテーナーを正しく使用していたにもかかわらず後戻りを起こした場合や、治療後の仕上がりに満足できなかった場合は、治療を受けた歯科医院に相談することを躊躇する人もいるでしょう。

「満足のいく治療結果が得られなかった原因を知りたい」「ほかにも治療法がないか知りたい」といった場合は、セカンドオピニオンを受けるという選択肢があります。ほかの歯科医師に意見を求めることで、新たな治療の可能性が見つかるかもしれません。

セカンドオピニオンを受ける際は、歯科医師に意向を伝え、紹介状や検査データなどを依頼することで、新たに受診する歯科医院でもスムーズに話を進められるでしょう。

顎まわりに特化した小顔矯正を検討する

再矯正ほど時間と費用をかけるのが難しい人や、再矯正に伴うさまざまなリスクが不安な人は、顎まわりに特化した小顔矯正を検討することをおすすめします。

顎まわりの骨格の歪みを整えることで、歯並びの土台となる顎が正常な位置に戻り、顔全体のバランスの改善が期待できます。

歯列矯正で歯並びを整えても、顎の傾きや位置に問題がある場合は顔全体が歪んで見えたり、口元が前に突出したりすることも少なくありません。

見た目に悩みを抱えて再矯正を検討している人は、小顔矯正で根本的な歪みを改善することを視野に入れるとよいでしょう。

歯列矯正だけでは解消しきれない噛み合わせや正中線のズレを改善するためには、顎まわりや頭蓋骨の位置まで考慮した小顔矯正がおすすめです。「小顔整顔専門サロン AGO TOKYO SALON」では、足先から丁寧に骨格を整え、顎を正しい位置に導くことで、歯科治療だけでは得られにくい長期的な安定と仕上がりをサポートいたします。顎関節や全身のバランスを根本から改善したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ

再矯正は、再び理想の歯並びを手に入れられる有効な手段の一つです。しかし、歯や歯周組織におけるリスク、費用や時間など、さまざまな負担がかかる治療でもあります。再矯正を検討する際は、希望を明確にし、慎重に判断することが大切です。

また、実際に再矯正を行う際は、豊富な経験と知識を持ち、信頼できる歯科医師のもとで適切な治療を受けるようにしましょう。

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この記事を書いた人

「小顔整顔専門サロン AGO TOKYO SALON」代表。オールハンドで美容整形級の変化をもたらすAGOメソッド®を開発。女性の経済的、時間的自由を実現するセラピストスクールは380名以上が受講。

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