歯列矯正では口ゴボは治らないって本当?難しい歯並びと改善方法まとめ

歯列矯正では口ゴボは治らないって本当?

「歯列矯正をしたのに口ゴボが治らない……」

時間と費用をかけて歯列矯正をしたにもかかわらず、口ゴボが改善せず悩みを抱える人は少なくありません。

口ゴボになる原因は歯並びだけではないため、原因を理解することで適切な対処法が見つかる可能性があります。

この記事では、歯列矯正で口ゴボが治らない原因と改善方法を詳しく解説します。

目次

歯科矯正で口ゴボが治らない原因は?

口ゴボは、歯列矯正で改善が可能ですが、さまざまな要因によって治療効果が得られないケースも少なくありません。

口ゴボが治らない原因を理解することで、治療の失敗や後悔を回避できるでしょう。

保定期間が不足している

保定期間が不足していると、歯が治療前の状態に戻る後戻りにつながるおそれがあります。

これは、口ゴボに限らずほかの症例にも当てはまることであり、リテーナーの装着不足が原因で後戻りを引き起こすことは珍しくありません。

口ゴボの治療期間は個人差がありますが、一般的な矯正期間は半年〜1年半程度です。その後、同等またはそれ以上の保定期間が必要となるため、治療が完了するまでに2年から3年程度かかります。

後戻りのリスクを防ぐためには、決められた保定期間を守り、リテーナーを正しく使用することが大切です。

スペースの確保が十分ではない

歯列矯正では、歯を動かしたり並べたりするためにスペースを確保する必要があります。

たとえば、出っ歯(上顎前突)の場合は、前に突出している前歯を後方に引っ込めるためのスペースが必要になるでしょう。

スペースの確保が十分ではない場合は、抜歯が必要になる可能性があります。しかし、健康な歯を抜くことに抵抗があり、非抜歯を希望する人も少なくありません。

患者の希望に沿って抜歯をせず無理な歯列矯正を行った場合は、スペースがないため歯が動かず、口ゴボが治らないおそれがあります。

悪習慣で症状が悪化した

歯並びに影響を及ぼす悪習慣として、以下のことがあげられます。

  • 歯ぎしりや食いしばりといった噛み癖
  • 舌で歯を前に押し出す舌癖(ぜつへき)
  • 噛む力が弱い、強い
  • 口呼吸
  • 唇や爪を噛む
  • 片側に偏って噛む
  • 頬杖をつく
  • うつ伏せや横向きで寝る
  • 指しゃぶり

これらの悪習慣があると、計画通りに歯が移動せず、後戻りのリスクが高まります。

悪習慣のほとんどは無意識に行われるため、適切な方法で対策しない限り、口ゴボの改善は難しいでしょう。

噛み癖にはマウスピースの使用が効果的であり、舌癖や口呼吸には口周りの筋肉を鍛え、舌の位置を正しくするMFT(口腔筋機能療法)が有効です。

担当医の技術が不足している

口ゴボの治療で抜歯を行った場合、アンカースクリューといった補助器具を装着することで、奥歯の前方移動を防ぎながら、効率的に前歯を後退できます。

アンカースクリューは重度の口ゴボの治療に適しており、治療中の痛みが少ないことや、症例によっては外科手術を避けられるメリットがあります。

ただし、アンカースクリューを用いた治療は、装着時の正確な位置設定や、歯を動かす際の適切な力の調整が必要になるため、歯科医師の十分な知識と専門的な技術が求められます。

担当医の知識や技術が不足している場合、アンカースクリューを適切に使用できず、治療効果が得られない可能性が高いでしょう。

治療法の選択が誤っている

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正に比べて見た目が目立たない、食事や歯磨きがしやすいなどのメリットがあるため、希望する人も少なくありません。

しかし、適応症例は限られるため、治療方法の選択を誤ると効果が得られないケースもあるでしょう。

たとえば、スペースを確保するために抜歯が必要な症例にもかかわらず、インビザライン(アメリカのアライン・テクノロジー社が開発したマウスピース型矯正治療法)にこだわり、非抜歯で無理な治療をして出っ歯になった事例があります。

精密検査をしっかり行い、治療方法や抜歯の必要性など、あらゆる選択肢の中から適切な判断ができる歯科医師のもとで治療を受けることが重要です。

歯科矯正で治らない口ゴボの症例

ロゴボの原因が歯並びにある場合は歯列矯正で改善できます。しかし、顎の骨格、鼻や唇など歯以外に問題がある場合は、歯列矯正で改善することは難しいでしょう。

ここでは、歯列矯正で治らない口ゴボの症例と対処法を解説します。

骨格的な問題がある

口ゴボの原因の一つに、骨格の遺伝的な問題があります。生まれつき上下の顎の骨が大きく、前方に出ている場合は、歯列矯正だけでは改善が難しいため、顎の骨を切る外科手術を併用することもあります。

セットバック整形(前方分節骨切り術)は、前から数えて4番目の上または下、あるいは両方の歯を抜歯し、歯を支える歯槽骨まで切除してスペースをつくり、前歯6本を骨格ごと後方に移動させて固定する手術です。

整形が必要な場合

遺伝によって鼻や顎、唇に問題がある場合も、口ゴボの原因になります。たとえば、鼻が低い、顎が後退している、唇が分厚い状態は、口元が突出して見えるでしょう。

このように、歯以外の顔のパーツの問題による口ゴボを治したい場合は、美容整形が必要になる可能性があります。

美容整形では、ヒアルロン酸や医療用の人工軟骨であるシリコンプロテーゼを鼻や顎に注入することで高さを出し、相対的に上下の唇を後方に下げ、Eラインや顔全体のバランスを整えます。

歯科矯正で改善が見込める口ゴボの症例

口ゴボの原因が歯並びや噛み合わせの場合、歯列矯正をすることで改善が期待できるでしょう。

特に、出っ歯や受け口は、口ゴボの原因になりやすい歯列不正です。ここでは、歯列矯正で対応が可能な口ゴボの症例を解説します。

出っ歯が原因で口元が突出している

口ゴボの原因が歯並びの場合、出っ歯が影響しているケースは少なくありません。

出っ歯が原因の口ゴボは、前に突出している前歯によって上唇が引っ張られ、口元が膨らんで見えたり、鼻の下が長く見えたりする特徴があります。

出っ歯が原因の口ゴボは、以下の2つに大きく分かれます。

  • 歯の生え方に問題がある
  • 上顎の骨ごと前に出ていて、骨格自体に問題がある

歯の生え方に問題がある場合は、歯列矯正によって前歯を正しい位置にすることで、口ゴボを改善できる可能性が高いでしょう。

一方、骨格自体に問題がある場合は、歯列矯正だけでは改善が難しく、外科手術を併用することがあります。

歯並びの乱れで受け口になっている

歯並びの乱れが原因で、下の前歯が上の前歯よりも前方に出る受け口(反対咬合)になり、口元が前に突出して見えるケースは珍しくありません。

歯並びの乱れが原因の口ゴボは、歯列矯正で改善できるでしょう。

ただし、治療方法を選択する際は注意が必要です。マウスピース矯正は、軽度から中度の歯列不正には対応できますが、歯の平行移動を苦手とするため、歯の重なりが大きい叢生(乱杭歯)や重度の受け口は治療が難しいです。

複雑な歯列不正の診断を受け、マウスピース矯正で治療が難しいケースでは、幅広い症例に対応できるワイヤー矯正を検討するとよいでしょう。

歯並びは整っているのに口先が出ている

歯並びは整っていても、歯全体が前に出ている場合は口ゴボに見えることも少なくありません。

歯が前に向かって生える理由は、顎の骨の成長が不十分で小さく、歯の数に対して顎のスペースが不足しているためです。

このようなケースでは、抜歯をしてスペースを確保し、歯列矯正によって歯全体の傾斜角度や位置を正しくすることで口ゴボを改善できるでしょう。

歯が生える角度に問題があるケースには、ワイヤー矯正が適しています。特に、歯の裏側に装置を装着する裏側矯正は、前方に倒れた歯列を引き下げる治療に向いています。

ただし、裏側矯正は歯磨きがしにくいため、虫歯のリスクが高まるでしょう。

口ゴボになってしまう主な原因

口ゴボになってしまう原因は、先天性と後天性のものがあります。

口ゴボになってしまう原因を理解することで、適切な治療方法を選択しましょう。

遺伝による下顎の大きさや位置

歯や顎の骨格的な特徴は遺伝による影響が強いため、親が口ゴボの場合、子どもも口ゴボになる可能性が高いでしょう。

口ゴボの原因となる骨格的な特徴は、以下のとおりです。

  • 上顎の骨が大きすぎる
  • 下顎の骨が小さすぎる
  • 上顎の骨が前方へ飛び出しすぎている
  • 下顎の骨が後方へ引っ込みすぎている

このような顎の骨格は、歯が前方に出やすいため、口元が膨らんで見えるでしょう。

骨格的な問題が軽度の場合は、歯列矯正によって歯の傾斜角度や位置を調整することで改善できる可能性がありますが、重度の場合は歯列矯正と外科手術を併用することがあります。

歯並びや歯の生える方向

口ゴボの原因の多くは、歯並びの悪さです。特に、以下のような歯並びは口ゴボになりやすいです。

  • 出っ歯
  • 上下顎前突
  • 叢生(乱杭歯)

前に出ている歯並びによって唇が引っ張られるため、口元が膨らんで見えることがあります。

また、一見歯並びが整っているように見えても、歯の生える方向が前に傾いている場合は、唇がめくれて分厚く見えることも少なくありません。

歯並びの悪さや歯の生える方向が原因で口ゴボになっている場合は、歯列矯正をすることで改善が期待できます。症例に適した治療法を選択することで、治療効果が得られるでしょう。

口周りの皮膚や唇の厚さ

歯や骨格に問題がなくても、口周りの皮膚や唇が厚い場合は、口ゴボになることがあります。また、顎の皮膚や筋肉が薄い場合も口元が盛り上がって見えることがあるでしょう。

口周りの皮膚や唇は、表情筋を鍛えるトレーニングやダイエットによって薄くなる可能性がありますが、皮膚や唇の厚さは遺伝が大きく影響します。そのため、改善が難しいケースもあるでしょう。確実な効果を得るためには、美容整形の検討が必要です。

唇の余分な皮膚や組織を取り除き、唇を薄くする手術や、鼻や顎の高さを出し、相対的に唇を後方に下げる手術などがあるため、美容外科で相談するとよいでしょう。

口腔習癖

以下のような口腔習癖がある場合は、歯並びや顎の発達に影響を及ぼし、口ゴボになる可能性があります。

  • 舌癖
  • 口呼吸
  • 指しゃぶり
  • 爪を噛む

舌や指によって上下の前歯が前方に押し出されると、出っ歯やすきっ歯(空隙歯列)などにつながるおそれがあります。歯列矯正で口ゴボを改善できても、口腔習癖が残っている場合は、後戻りを引き起こすでしょう。

舌癖や口呼吸は、MFTで改善が期待できます。子どもの指しゃぶりや爪噛みは、すぐには改善が難しい場合がありますが、たとえば手を使う時間を増やすなど環境を工夫することで、徐々に改善していくことが可能です。

ガミースマイル

ガミースマイルは、笑ったときに歯茎が過剰に見える状態を指し、口を閉じた際に口ゴボに見えることがあります。ガミースマイルの原因として、以下のことがあげられます。

  • 上顎の骨が長く、前に突出している
  • 口周りの筋肉が発達しすぎている
  • 歯の長さが短い
  • 歯が生えている位置が低い
  • 過蓋咬合(ディープバイト)
  • 遺伝

骨格や筋肉に問題がある場合は、歯列矯正だけでは改善が難しいでしょう。

アデノイド顔貌

アデノイド顔貌は、上顎に対して下顎が小さく、下顎が後退していることが特徴です。そのため、口元が突出して口ゴボに見えることも少なくありません。

アデノイド顔貌の主な原因は、鼻の奥にあるアデノイド(咽頭扁桃)の肥大化です。この肥大により鼻呼吸が困難になり、口呼吸が習慣化することで口周りの筋肉が鍛えられず、顎の骨格形成に悪影響を及ぼし、下顎の発育が不十分になることがあります。

顎が成長段階にある子どもの場合は、MFTを行うことで改善が期待できますが、顎の成長を終えた大人の場合は、一般的に歯列矯正が必要になるでしょう。重度の場合は、アデノイドの切除や顎の骨を切る外科手術を併用することがあります。

歯列矯正で治らない口ゴボを改善する方法はある?

口ゴボを改善するために、時間と費用をかけて歯列矯正をしても、治療効果が得られず悩みを抱える人は少なくありません。

歯科医師の治療方針や骨格の問題が原因で、口ゴボが改善しないケースもあるでしょう。

ここでは、歯列矯正で治らない口ゴボを改善する方法を解説します。

歯科のセカンドオピニオンを求める

歯列矯正の治療効果が得られず口ゴボが改善しない場合、セカンドオピニオンを求めることで、最適な治療方法や治療方針が見つかる可能性があります。

セカンドオピニオンを求めることには、以下のメリットがあります。

  • 自分で納得した治療が受けられる
  • 正しい診断を受け、誤診のリスクを軽減できる
  • 客観的な意見やアドバイスを得られる

また、治療の失敗を防ぐためには、以下のような歯科医院を選びましょう。

  • 口ゴボの治療実績が豊富である
  • 患者に寄り添ったカウンセリングが受けられる

外科手術(骨切り術)を検討する

顎の骨格自体に問題がある場合は、歯列矯正だけでは治療が難しいですが、顎の骨を切るセットバック整形を併用することで改善が期待できます。

セットバック整形には以下の種類があり、口元や歯並びの状態に合わせて適切な手法を選択します。

  • 上顎セットバック整形:上顎が大きい、または下顎が小さい出っ歯や上の歯茎が出るガミースマイルに適している
  • 下顎セットバック整形:下顎が大きい、または上顎が小さい受け口に適している
  • 上下顎セットバック整形:上下両方の顎が大きい症例に適している

顎変形症などの特定の基準を満たす場合は、保険が適用される可能性があります。

骨格矯正を併用する

歯列矯正で口ゴボが改善せず、外科手術や美容整形を検討する人は珍しくありません。しかし、これらの治療には時間と費用がかかるため、治療に踏み切れない人もいるでしょう。

歯並びは悪くないため再矯正の必要性を感じない人や、外科手術や美容整形ほど時間と費用をかけることが難しい人は、身体や顎の歪みを整える骨格矯正の併用がおすすめです。

骨格矯正は、姿勢を改善し、Eラインをチェックしながら上下の顎を正常な位置に整えることで口ゴボを解消する手段です。根本的な歪みを改善することで、美しい横顔になるでしょう。

小顔整顔専門サロン AGO TOKYO SALON」では、口ゴボが顎の骨格そのものではなく、姿勢不良や顎関節周りの筋肉バランスの乱れによって強調されているケースも少なくないと考えています。全身のアライメントを整え、顎関節や頭蓋骨の位置を正すメソッドでアプローチすれば、大掛かりな歯列矯正や手術を検討する前に顎のラインや噛み合わせが改善される可能性があります。

口ゴボの歯科矯正に関するよくある質問

歯並びは悪くないのに口ゴボに見える場合、原因がわからず不安を抱える人もいるでしょう。

また、口ゴボの治療で歯列矯正を検討する際、治療期間を気にする人は少なくありません。

ここでは、口ゴボの歯列矯正に対するよくある疑問を解説します。

歯並びがいいのに口ゴボに見えるのはなぜですか?

歯並びが整っていても口ゴボに見える主な原因は、以下のとおりです。

・骨格の問題
遺伝によって顎の骨に問題がある場合や、顎の成長が不十分な場合、口ゴボになることがあります。歯列矯正と外科手術や骨格矯正を併用することで改善できます。

・歯の傾きの問題
歯の生える向きが前方に傾いている場合、口ゴボになることがあります。歯列矯正に加え、歯が傾く原因になる口腔習癖の改善が必要です。

・口周辺の問題
口周りの皮膚や唇が分厚いことや、顎の皮膚や筋肉が薄いことが原因で口ゴボになることがあります。MFTで改善できるケースもあります。

口ゴボの矯正期間は何年くらいかかりますか?

口ゴボの矯正期間は、歯列全体を整える全体矯正と、前歯のみを整える部分矯正で異なります。症例によって個人差がありますが、治療期間の目安は、以下のとおりです。

  • 全体矯正:半年〜1年半程度
  • 部分矯正:半年〜1年程度

軽度のゴボの場合は、部分矯正で改善できることがあります。全体矯正に比べて治療期間が短いため、費用を抑えられるでしょう。ただし、歯を整えた範囲に関わらず、保定期間は1〜2年程度必要になります。

重度の口ゴボの場合は、全体矯正で治療することがほとんどです。保定期間は矯正期間と同等またはそれ以上の期間が必要になることを理解しておきましょう。

まとめ

口ゴボに見える原因は多岐にわたるため、歯列矯正だけでは口ゴボの改善が難しいケースもあるでしょう。

歯並びや口元の状態、骨格の問題など、原因によって治療方法は異なるため、正しい診断と適切な治療方法で治療することが大切です。

歯列矯正で口ゴボが改善せず悩みや不安を抱えている人は、セカンドオピニオンを検討することをおすすめします。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「小顔整顔専門サロン AGO TOKYO SALON」代表。オールハンドで美容整形級の変化をもたらすAGOメソッド®を開発。女性の経済的、時間的自由を実現するセラピストスクールは380名以上が受講。

目次